2016年3月15日

お気に入りの品々 その11 『ほら吹きパッドと、正直靴工房』

物持ちが極端にいいほうで、とくに革製品などは10年愛用が当たり前です。


この鹿革の財布も、購入して15年ほどでしょうか。それほど高価でない、どこにでもある長財布ですが、しっとりとした手ざわりが心地よく、大きなやぶれも型崩れもなく、重宝しています。


これは一体なんでしょう。
正解は、マウスパッドの裏面なのですが、実は本革ではありません。おそろしくよくできた合成皮革なのですが、販売ページには「牛革」と表示されていました。価格もお手頃で、さっそく購入したのですが、おもて面をひと目見てがっかり。やけにツルツルで、毛穴やシボもなく、ためしに火に近づけてみると、いまにも溶け出しそうなたよりなさ。

もちろん一概に、合成皮革が駄目というわけではないのですが、残念ながらいつまで経っても「味」が出てこない。あつかましく新品の顔であり続けようとする。マウスのすべりも悪くなく、簡単に汚れも落ちるのですが、どうしても好きになれません。というわけで、その不憫な「ほら吹きパッド」君に、化粧をほどこしてみました。


長らく押し入れの肥やしとなっていた、ぺらぺらのロングコートの革を、ジョキジョキはさみで切って木工ボンドで貼りつけてみました。ふちをぐるりとミシン糸で縫ってもいいのですが、ひっかかりがないほうがかえって具合がいいと気づき、もとの縫い目をうっすらと浮き上がらせるだけにとどめています。


初公開、自宅の作業場。ではなく、九十九里の白子町にある『小高善和靴工房』です。
名前のとおり、靴職人の小高善和さんが、トンカチトンカチ、正直者の木こりの働きぶりで、日々良質な、オーダーメイドの革靴やバブーシュを作っておられます。(笑顔のさわやかなナイスガイで、おそろしく手が大きい)


靴作りのワークショップのほかに、革小物を作れる一日体験も受けつけており、この春、半年ごしの約束を果たすため、木々に囲まれた手作りの工房を訪問してきました。


事前に用意した、名刺入れのラフスケッチ。ここから、紙に寸法を起こしていきます。
(注 デザインはオリジナルではなく、市販の小銭入れを参照、横長に変更)


銀ペンで革シートにラインを引き、革包丁とハサミを使い分けてカットしていき、ポンチで穴を開け、そこにホックをつけて、おおよそ2時間で完成。



内側の革は、少し厚めのダークグリーン。外側の白い革は、私の生まれ故郷、姫路の特産である「白なめし」を使っています。(汚れやすいのが欠点ですが、しなやかで、大変手ざわりがいい)


型紙があり、おまけに要領を覚えたので、次回からは30分ほどで作れるでしょう。
お知り合いで、もし色違いがほしいという人がいれば、ご一報ください。
誕生日までには間に合わせますので。

【名刺と黒い器も、筆者作】