2016年11月21日

小野十三郎賞 授賞式

1119日、小野十三郎賞の授賞式をどうにか無事に終えました。
会場は、空に喧嘩でも売っていそうな、大阪のフェスティバルタワー。


土地柄もあるせいか、ときには客席から爆笑が起こるような、終始なごやかな雰囲気で、参加者の身としては大変ありがたく、ほどよく肩の「こり」もほぐれてスピーチにのぞめました。
おひねりこそ飛んできませんでしたが、ありあまるほどの拍手をいただき、最後には由来不明の、謎の花束までいただき、おかげでラッキーパンチ的な笑いを呼び寄せることもでき、楽しいひとときを過ごせました。(文字では伝わらないのが残念

その後も、4名の選考委員による、いまにも胸ぐらのつかみ合いが始まりそうな、がっぷりよつの座談会、場を移しての食事会、居酒屋での二次会と、それこそカルピスの原液をさらに煮詰めたような「濃ゆ甘い」時間がまたたく間にすぎ、ふと気がついたらホテルへと向かう電車の中。
もちろん「場疲れ」「人疲れ」はあったのですが、それよりも、小説1冊では到底追いつかないほどの、カラフルで、エネルギッシュで、その瞳の奥に鷹を飼い、それでいて童心を忘れない先輩詩人たちにお会いすることができ、つながりの芽を持てたことは、何物にも代えがたい財産になったと思います。

そして、興奮冷めやらぬまま、翌朝10時。
小野十三郎賞の主催である大阪文学協会、その学舎(まなびや)である大阪文学学校にて、インタビュー取材。
おぼろげな自覚はあったのですが、やはり私は「口の人」ではないことを、その1時間半であらためて実感させられました。賽の河原の石積みではありませんが、何度となく頭の中でトライ&エラーを繰り返した果てに、どうにかこうにか「指の人」として、その考えを表明すべき人間なのだと。
単純な事実誤認、間違いなく誤解を招く不躾(ぶしつけ)な言いまわし、言ったそばから消しゴムで消したくなる思慮の浅さ、玉突き事故を起こして仕事を放棄した頭の中のシナプス、何度リールを巻いても釣り針からはずれてしまうこれまで読んできた本の一文たち。
なので、インタビューをしてくださった細見和之さん(校長であり、作家であり、ミュージシャンであり、京大の先生でもある)には、大変申し訳ないのですが、テープ起こし以上の苦行を強いることになりそうで、ゲラチェックまでに、いまから万全の準備をしておきたいと思います。(なんだか私信のようになってしまったので、追伸として、ぴりりとおいしいカキフライのせカレーうどん、ごちそうさまでした)

ちなみにインタビューの記事は、来年3月発行の『樹林』春号に掲載される予定です。

そして最後になりましたが、今回の準備にあたって、おおよそ30回あまりのメールのやり取りを重ね、手書きの乗り換え地図までそえて会場の場所を教えてくださった、事務局の中塚鞠子さんに感謝を捧げ、授賞式の報告を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

森水陽一郎