2017年12月1日

『現代詩手帖』掲載のお知らせ

現代詩手帖12月号(現代詩年鑑2018)に、詩集『夏の花』の書評を寄稿しました。
タイトルは『手と足の巡礼』。「河津聖恵は『手と足の人』である」という書き出しで始まる、1000字ほどのささやかな礼賛歌です。
あらたな読み手との、かすがいの花鎖となりますよう。



また、本書の装画を担当された玉川麻衣さんの個展『流転抄』が、12月2日より10日まで(3日休廊)、六本木のストライプハウスギャラリーで開催されます。5日には、河津さんを交えたトークイベントもあるそうです。

「我死なば 焼くな埋(うず)むな野にさらせ 痩せたる犬の腹を肥やせよ」

小野小町の辞世の句より生まれた『流転』P30号、薄笑みをやどすその姿が、地母神のようにも見えます。自身の死を哀しみだけでなく、命を循環させる豊穣の喜びとして、心静かに受けとめているような。
おそらく玉川さんの代表作の一つになるのではないでしょうか。

東京都港区六本木5-10-33-3F 
Tel 03-3405-8108





2017年11月21日

文学講座の御礼・神戸新聞掲載・墓参りについての短文

ふるさと姫路での文学講座「七つ転んで、詩が生まれる」、おかげさまで、急遽予備のイスが用意されるほどの盛況ぶりで、60名ほどが来てくださいました。
関西人は「笑かしてなんぼ」「お笑い原理主義」の修羅の世界ですので、なかなかのプレッシャーでしたが、どうにかその任を果たせたのではないかと、ほっとしております。

姫路文連の関係者の皆様、仲立ちをして下さった詩人の大西隆志さん、特大の熊手で、親類縁者を根こそぎかき集めてくれた母親に感謝し、お礼の言葉とさせていただきます。
あたたかな笑い声と拍手、財布に入りきれないほどの心のおひねりを、皆様ありがとうございました! 

画像は、帰省の途中で立ち寄った、三重の山中を駆け流れる赤目四十八滝。
講座で取り上げた車谷長吉さんへの、最低限の礼儀として、実際に歩いたのでした。











【追記】

1110日付の神戸新聞で、講座の様子を紹介していただきました。
紙面の都合上、2時間の講座が布団圧縮袋式に超訳され、さらっと目を通すと、私のあこがれの作家が車谷長吉さんと誤読できてしまうのですが、まあ、ありがたいかぎりです。
本文の紹介は、著作権保護の観点と、「にやけ」が特盛りのため、自粛の方向で。



そして、少し時間をさかのぼりますが、講座の前日、墓参りをしてきました。飼っていた動物の墓を含め、市内に散らばる墓地を5か所ほどまわります。




1枚目は名古山にそびえる仏舎利塔。手前に写っているのは、妻と子供を含めた森水一族。
ではなく、永遠にどいてくれなかった赤の他人。
2枚目の先のとがった墓の一つは、母方の祖母の弟のもの。
親族の墓をさらすのは、あまり褒められた行為ではありませんが、一つ言いそえると、横並びの彼らはすべて先の大戦の戦没者であり、少なくない遺骨が、いまだ異国の地で野ざらしとなっています。

祖母の弟は、享年25。フィリピンのルソン島、クラーク飛行場の付近で亡くなったと墓の側面に刻まれていますが、いまだ遺骨は戻っていません。(戦病死と伝えられていますが、あるいは気休めの、気づかいの報告なのかも知れません)
帰省中、何度か田舎の道ばたに、あるいは訪れた墓地の隅っこに、横並びの神道型の墓を見かけましたが、その意味を知る人はあまり多くはないでしょう。

彼らが自身の死を、意味のあるものとして後世に伝えてほしいのか定かではありませんが、少なくとも知ることは、彼らの歩んだ短くも苛酷な、徴兵忌避を遠ざけた曲がりのない一本道に想いをはせるきっかけとなり、それは私自身の生き方にも、何らかのかたちで反映されるのではないかと、個人的には考えています。背の曲がりを正す、座禅の警策(きょうさく)のような役割として。

2017年10月10日

文学講座のお知らせ

117日(火) 姫路市市民会館第1教室にて、2時間ほどお話をさせていただきます。
詩の朗読もする予定なので、どうぞお楽しみに。

問い合わせ 姫路地方文化団体連合協議会(姫路文連)
TEL 079-288-6642


2017年9月1日

靴作りは、靴だけにあらず

この夏、九十九里の白子町にある小高善和靴工房にて、チャッカブーツを制作していた。
小野十三郎賞の受賞の記念に、自分で靴を作りますと伝えて早10か月、あやうく「作る作る詐欺」になりかけていた約束を、ようやく果たせたのである。

倉庫を改造した手作りの工房は、ミシンや工作機械のほか、小高さんの好きなもので埋め尽くされ、どこを切り取っても絵になる。





本番の靴作りの前に、まずは練習をかねて仮合わせの靴を一足(つまり左右の靴を)制作。そこからデザインやフィット感などを微調整していくのである。ちなみに撮影は、持参した一眼レフに夢中の、あるじの小高さん。イスの脚にピントを合わせる高等テクニックで、我々弟子と毛穴のプライバシーを守ってくれているのである。


お手本にしたのは、フランスの高級靴、ピエール・コルテ。まったくの物真似では面白くないので、筒高や曲線などをあれこれいじくっている。緑の内革は、汗をよく吸うピッグスキン。


そして完成。
使用したのは、ふるさと姫路のタンニンなめし、なかなかデリケートで傷つきやすく、作り手とはまるで正反対なのである。


ヒール部分の三角ステッチと白丸は、姫路城の漆喰と狭間(さま)をイメージしている。中敷きには、詩集の題名である「919」の刻印。



タンニンなめしは、はき続けることで育っていく革。つまり一生ものの、友人であり、息子の誕生なのである。ありがとう、小高さん。いい夏の思い出になりました。


2017年7月12日

TOKYOポエケット後記

初参加のTOKYOポエケットが、無事終了しました。
始まりこそのんびりしていましたが、後半怒涛の巻き返しで、おまけつきの詩集が(ほぼ)売り切れました。お買い上げ下さった皆様、ありがとうございます。また、ふらんす堂あずかりの本もぼちぼちといったところで、ほっとひと安心。まったく、福助様々です。



なにぶん「一人あるじ」なもので、あまりブースをまわることはできなかったのですが、いくつかの新しい出会いや、ドッキリ顔負けのサプライズ再会などもあり、心温まる1日となりました。ちなみに、会場の正式名称は「東京都江戸東京博物館」だそうで、なかなかの玉突き事故を起こしております。


その後、北千住に移動し、TOLTAの「人間関数」にお邪魔。素晴らしかった。
「観る」の垣根を越え、ともに出演者の一人として、彼らの口からこぼれる霧散した声の断片を掬い(救い)集めるような、あるいは森の奥からかすかに聞こえてくる呼びかけのこだまに、自分の本当の名前でも探しあてるような。



またいつか、どこかでお目にかかれる日を。謝。